結局

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楽しいデートだった。
だが少しずつ彼女の機嫌がななめになっているような気も・・・。
「ねぇ、何で怒ってるか分かる?今日まだ1回も『好き』って言ってくれてない!」
プク顔をする彼女に僕は「好きだよ」と言った。



あのプク顔から30年。
今では腹回りがプクっとしている。
涅槃像のようなかっこうでリビングのソファーからなかなか動かない。
涅槃像のようなのはかっこうだけで、あの彼女は今では鬼嫁である。
小遣いは3万円。昼休みに同僚は外食に行くが、僕は嫁が作った弁当。
・・・すいません。
鬼嫁エピソードを挙げるつもりが、嫁が作ってくれる弁当はおいしい。しかも僕の健康を考えてくれた低カロリー高タンパク。
なんだか急に嫁を愛しく思えてきた。
久々に言おう。あの頃のように、いや、あの頃よりも気持ちを込めて。
「好きだよ」
「あーうるさい!テレビ聞こえなかった!」
なら僕の声は聞こえたはずだ。
その他
公開:20/05/13 23:26

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