恋を切るハサミ
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僕の恋人は美容師だ。
元々彼女の身内は美容師が多いそうで、仕事で使っているハサミも母親から譲り受けたと言う。
しかし、それは素人目にも切れ味が悪そうなハサミだった。
2枚の刃のかみあわせが、なぜかハートになっているのだ。
僕が「ちゃんと髪を切れるのか」と尋ねると、彼女は悪戯っ子のように笑った。
「私のハサミはね、恋に迷っている人の髪を切るものなの。諦めたほうがいいときは、すっぱりと切ることができるのよ。私もあなたに告白する前に、お母さんにこのハサミで髪を見てもらったんだから」
彼女の髪は出会った頃からずっと長い。
その事実に、つい頬を緩めていると――
「ただ、髪を切って気持ちはスッキリしても、やっぱり切れ味は悪いみたいで髪型を綺麗にセットできないんだよね」
それは彼女の腕前も関係あるのではないかと思いつつ、僕を想い長い髪を綺麗に整える彼女を見ていると、愛おしくて何も言えなかった。
元々彼女の身内は美容師が多いそうで、仕事で使っているハサミも母親から譲り受けたと言う。
しかし、それは素人目にも切れ味が悪そうなハサミだった。
2枚の刃のかみあわせが、なぜかハートになっているのだ。
僕が「ちゃんと髪を切れるのか」と尋ねると、彼女は悪戯っ子のように笑った。
「私のハサミはね、恋に迷っている人の髪を切るものなの。諦めたほうがいいときは、すっぱりと切ることができるのよ。私もあなたに告白する前に、お母さんにこのハサミで髪を見てもらったんだから」
彼女の髪は出会った頃からずっと長い。
その事実に、つい頬を緩めていると――
「ただ、髪を切って気持ちはスッキリしても、やっぱり切れ味は悪いみたいで髪型を綺麗にセットできないんだよね」
それは彼女の腕前も関係あるのではないかと思いつつ、僕を想い長い髪を綺麗に整える彼女を見ていると、愛おしくて何も言えなかった。
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公開:20/05/14 17:05
Twitter@N_natsuo
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