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「いいか!絶対に離すんじゃないぞ!少したりとも気を抜くなよ!」
「し、しかし隊長――これは重過ぎます!それに、辛い……」
「泣き言を言うな!万が一せき止められなければ、我々の威厳と誇りは失墜すると思え!」
かつてないほどの激流によって、ダムは決壊寸前だった。もしも流れ出てしまえば、甚大な被害を受けることになる。
「ここまでなんとか耐えてきただろう!あと数分――いや、あと数十秒でいい!耐えるんだ!」
「も、もう限界です!苦しい……」
「駄目だ!離すな!」
その時――ぐらり、と。
小さな揺れが隊員たちを襲った。
「……よし、もういい」
「え?」
「もういいんだ――離せ。放せ!もう、放してやるんだ!」
「は、はい!」
次の瞬間、男の涙腺は崩壊した。
娘にも妻にも見せられない、『男泣き』だった。
男はゆっくりと席を立つ――娘と、そのパートナーの新しい門出を、心の底から祝いながら。
「し、しかし隊長――これは重過ぎます!それに、辛い……」
「泣き言を言うな!万が一せき止められなければ、我々の威厳と誇りは失墜すると思え!」
かつてないほどの激流によって、ダムは決壊寸前だった。もしも流れ出てしまえば、甚大な被害を受けることになる。
「ここまでなんとか耐えてきただろう!あと数分――いや、あと数十秒でいい!耐えるんだ!」
「も、もう限界です!苦しい……」
「駄目だ!離すな!」
その時――ぐらり、と。
小さな揺れが隊員たちを襲った。
「……よし、もういい」
「え?」
「もういいんだ――離せ。放せ!もう、放してやるんだ!」
「は、はい!」
次の瞬間、男の涙腺は崩壊した。
娘にも妻にも見せられない、『男泣き』だった。
男はゆっくりと席を立つ――娘と、そのパートナーの新しい門出を、心の底から祝いながら。
その他
公開:20/05/14 16:54
11/4~11/13の期間、「勝手に秋のお茶漬けデー」と題しまして、お茶漬けの物語を投稿中!(ストーリーに繋がりはありません)
11/4:「御茶ノ漬駅へようこそ」
11/5:「茶漬湖の底へ」
11/6:「神々しきお茶漬け」
11/7:「お茶漬け勇者の箸と匙」
11/8:「茶漬中毒」
11/9:「米どころ、茶漬けの祟り」
11/10:「茶が先か、卵が先か」
11/11:「檻の中。お茶漬けと一人」
11/12:「お茶漬け博物館」
11/13:「明日のお茶漬け」
お茶漬け、完結。充実したお茶漬けデーになりました……!
Twitter、ゆった~りと更新予定です。
https://twitter.com/dirokichiro?s=09
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