言葉の観覧車

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はるとくんを目の前にすると言葉が出ない…
「ゆかちゃんて無口なんだね」
優しい笑顔にまた口を噤む。
心臓がうるさい。
目が口よりも話すといけないから、目も合わせられないから本当に困る。

初めての恋の悩みをお姉ちゃんに相談すると、不思議な観覧車の話を聞かせてくれた。
「色ごとに伝えたい想いが詰まってて、それに乗るとうまく言葉に出来るんだって」

もう2年も片思いの私は、意を決してはるとくんを誘った。
8つの色の箱が回る、とても小さな観覧車。

「気持ちを伝えたい子はどっち?」
スタッフのお兄さんが聞く。
遠慮がちに右手を挙げる。
「今日はお客さんが少ないから色を選んでいいよ。」
伝えたい想い…
私は黄色の箱を選んだ。

ドキドキと緊張で震える。
「観覧車なんて久しぶりだ」と笑顔のはるとくん。
黄色の箱が私たちを招き入れる。
心に優しい黄色が広がる。

「あのね…」
気持ちと言葉が溢れた。
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公開:20/05/14 15:08
更新:20/05/14 15:12

ほんだのほ

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で、【白ネギ家族】が巨大隕石賞を受賞。

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場所:日本近代文学館
朗読出演者:10名(5名は高校生)
観覧者:最大30名(会場の定員は120名)
入場料:無料
主催:せたがや朗読教室プチプラージュ 
目的:10代~20代の朗読活動を応援するため
朗読形態:全文をそのまま朗読(1人2作品)
※公演が中止の場合は動画または録音によりYouTube公開


皆さんの心に少しでも引っかかるような作品を届けたいです⭐︎

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