『引越しました。松果体のお隣です』

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暫く連絡の取れなかった一宮から、引越し通知が届いた。
新住所も無いし、何より文がおかしい。
一宮は大変頭の良い男で、こんな戯言を書いて寄越す筈がない。戯言ならば、もっとウィットに飛んだ、またこちらがなるほど、と唸るようなものを寄越す筈だ。何しろ、海外の研究所から論文の依頼が来る程の男なのだ。
ネットが主流の昨今、葉書を寄越すという所は一宮らしいのだが。

一宮のスマホに連絡を入れてみるも、機会質の女の声で解約を知れただけだっだ。
幾人かの共通の友人にも連絡を取ってみたが、一宮の新しい連絡先を知る者は居ない。
ただ、二つ気になる情報を得た。

一つは、数ヶ月前から一宮がストーカーらしき存在に悩まされていたという事。
もう一つは、それぞれの元に届いた葉書の部位が、それぞれ違っている事。
心臓や水晶体、のように。

瞬間、目眩を覚える。

一宮は、頭の良い男だった。
酷く、良過ぎる程に。
ホラー
公開:20/05/14 11:32

晦-つごもり-( 肉色が好きです。 )

ひとり遊びの成れの果て

SF(すこしふしぎ)を書けたら良いな

twitter : 晦(@5000004xxx)

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