まっとうアレルギー

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黄砂に甘みがあることに気がついたのは洗濯物を取り込んでいたときのことだ。今まで黄砂というものは大陸から風で運ばれる困った砂だと思って避けてきたけれど、実は千年前のきなこだと知って、なんだか大地の恵みに感謝した。お餅にまぶして食べたいと思う。おやつに。
ポストを開ければ注文したわけでもないのに布マスクが二枚投函されていて、嫌がらせとばかり思っていたけれど、緊急時には下着のかわりになると聞いてなんだかホッとした。まずは試しに穿いてみようと思う。今夜。
僕はまっとうアレルギーだ。
本音やまっとうなことに触れてはいけない。嘘や詭弁で保身を図り、常に身を冷やしておかないと、体温が急激に上がり血が沸いて、不動明王のような鬱血の青い真実が顔を出して、太陽フレアみたいな高熱のアメーバで世界を燃やし尽くしてしまうんだ。
職業は政治家です。国会にいます。与党です。嘘にまみれて生きるにはこの方法しかないのです。
公開:20/05/14 10:08

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