西洋館の幽霊⑧

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 絶対に助ける。
 俺は客間に敷かれた布団を這い出て、リビングのソファーに腰掛けると、いつものロダンポーズで考える。頭の中で混雑していた情報のパズルピースが1つずつ整っていく。
 あと3つパズルピースが必要だ。
 窓が黒から淡い青に変わる頃、同じく眠れぬ夜を過ごしリビングに現れた島田さんに俺は告げた。
「師長さん。今日、僕は仕事が休みです。児童クラブに今日は僕が迎えに行くことを連絡しておいてもらえませんか。それから次の塾の日には仕事を早退させてもらいたいんですけどお願いできますか?」
 島田さんは俺の手を取ると大きく頷いた。

 通勤・通学の島田さん家族を見送ると、俺は幽霊が出ると噂の古い西洋館へやってきた。
 侵入者を拒むように鬱蒼と茂る雑木林の奥、高い門と塀の上には有刺鉄線が張り巡らされている。庭も塀の外と変わらぬ程荒れていた。
 その中心で西洋館は老いて尚、高貴な佇まいを保っていた。
ミステリー・推理
公開:20/05/16 10:00
更新:20/05/16 19:57
立中森一(たてなかしんいち) 推理物シリーズ

NORIHISA( 碧の星 )

   創作活動はこちらのショートショートガーデンが初めてです。令和元年12月31日から投稿開始しております。
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