あそびにくるあめ

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土の湿った匂いがする寝苦しい夜だった
ドアをノックする音がきこえる
そこには深い緑色のレインコートを着たギラギラした目の人が立っていた
「何かお困りですか?」
「いえ わたしは雨が嫌いで、、、」 
「分かりました このルーペで見えていなかったものがみえるかもしれません」
私は窓についた水滴をルーペで覗いてみた
「きれい でもやっぱり雨はすきぢゃない」そう言うと
「窓をあけて目を閉じてください」
響いてくる誰かの歌声が水の中でこだまするようだった
「でも雨が降ると何もできないぢゃない」
「それではいっしょにおいでなさい」
言われた通り外に出ると
その人は口を大きく広げた
一瞬で辺りは明るくなり
光に照らされた植物は宝石をまとったように美しく輝きだした
ルーペを覗くと生き物達の呼吸が聞こえてくるようだった
「きれい」

いつの間にかどこにも姿はなく

綺麗なルーペだけが残っていた
ファンタジー
公開:20/05/13 07:44
更新:20/05/13 08:01

ミルコ

挿絵はコロナで展示ができなかったチビ太さんにご協力して頂きました

ものづくりをしてます

よろしくお願いします
 

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