明治生まれのお婆ちゃん
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まだ僕が学生だった頃、深夜のコンビニバイトをしていた。勤務時間は長く、朝方の終業時刻の頃にはかなり眠たかったのを覚えている。でも、稀にすぐ帰れないことがあった。というのも、実はそのコンビニの二階はオーナーの家になっているのだが、早朝になるとお婆さん(オーナーの母親)が降りてきて僕に話をするのである。早く帰りたかったが、無下にはできなかった。
「学生さん? 私は明治の生まれだけど、私の頃は学校なんて通えなかった。羨ましいね」
お婆さんの話は聞き取りにくかったが、明治生まれという言葉に僕は驚いた。教科書でしか習ったことのない時代だ。やがて僕はコンビニの外に赤煉瓦の建物や、軍服を来た兵隊さんや、袴を着た女学生が普通に歩いているような気がしてきた。明治時代と、僕の生きるこの現代は陸続きなのだ。
その翌週、お婆さんが老衰で亡くなったと知った。僕の中で明治という時代が終わったような気がした。
「学生さん? 私は明治の生まれだけど、私の頃は学校なんて通えなかった。羨ましいね」
お婆さんの話は聞き取りにくかったが、明治生まれという言葉に僕は驚いた。教科書でしか習ったことのない時代だ。やがて僕はコンビニの外に赤煉瓦の建物や、軍服を来た兵隊さんや、袴を着た女学生が普通に歩いているような気がしてきた。明治時代と、僕の生きるこの現代は陸続きなのだ。
その翌週、お婆さんが老衰で亡くなったと知った。僕の中で明治という時代が終わったような気がした。
その他
公開:20/05/13 00:03
最近は小説以外にもお絵描きやゲームシナリオの執筆など創作の幅を広げており、相対的にSS投稿が遅くなっております。…スミマセン。
あれやこれやとやりたいことが多すぎて大変です…。
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