はるばる先に

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今日の満月はひと際大きい。聞けばスーパームーンという奴らしい。これなら期待できる。
俺は月の光を全身に浴びる。はるばる先に臨む月よ!俺に力を与えよ!
俺の瞳が金色に輝く。筋肉が膨張し、全身を獣の様な体毛が埋め尽くす。犬のように伸びる鼻。鋭く伸びる牙。ものの数分で俺は狼男へと変身した。
喉の奥から獣のような唸り声が聞こえる。俺はこの日を待ち望んでいた。
そんな俺の姿を見て怯える女。そいつは恐る恐る俺に鏡を差し出してきた。
それを受け取り、俺も確認してみる。

…えっ?嘘っ!?

焦った俺は女に視線を向ける。女は恐る恐るその言葉を口にした。
「狼男になっても、貴方の頭皮の毛根は死んだままです…毛が一本も生えていません!」
その言葉に俺は膝を着いた。
「しかも残念な事に頭皮以外が毛で覆われている為、その…とても目立ってしまいます…」
その一言で俺も覚悟を決めた。
『先生、植毛手術をお願いします』
公開:20/05/13 18:49

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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