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繁忙期の会社、誰も彼もが忙しさに他人を思いやる気持ちがなくなってきている。
自分では処理しきれない仕事を、その仕事を得意とする者に回そうとする。
「見て分からないか!こっちも忙しいんだよ!」
怒鳴り声が聞こえたかと思うと同期入社で親友同士の二人が今にも喧嘩を始めそうな雰囲気だ。しかし誰も止めようとはしない。
そんな事に構っている暇があれば己が抱えている仕事を少しでも片付けたい。言葉にしなくても分かる。
今、職場の雰囲気は最悪だ。淀んだ空気が満ちる。
あれをやるか…私は席を立ち、トイレに行く。
戻ってきた私を見て皆が驚いた。
「部長…その…開いています」
部下が私の社会の窓が全開である事を指摘した。見ればワイシャツがコンニチワしている。
「…どうやら私も相当疲れているようだ。皆、今日は残業なし。明日は休みとする」
その言葉に皆が安堵した。
わざと無様を晒し、部下を労ってやるのも上司の務めだ。
公開:20/05/13 18:47
休む事も仕事の内

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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