最後の戦い

食欲がない。
数あるフードファイトで勝ってきた俺は最後の大会で優勝し引退を発表するはずだった。
後6日で予選なのに何の準備もできていない。
長い付き合いの友人に現状を打ち明けたら「わかった。少し待ってろ」と言われ、
後日荷物が届いた。中身は丸薬3粒と手紙。
「元医者の爺ちゃんが作った。脳に作用してどんどん腹が減るって。頑張れよ」
薬を1粒鼻の穴に入れろと書いてある。すっぽり嵌った。
溶けて粘膜から効くようだ。薬は溶け難く予選まで保つ。頼む効いてくれ。

予選通過。だが薬が切れて前よりも酷く食欲が落ちた。
畜生！俺は両方の鼻の穴に薬を突っ込んだ。
決勝は3日後、パスタだ。麺の隙間で息を吸う！絶対に勝って引退する！

決戦当日、会場が騒がしい。司会が出てきた。なんだ？
「申し訳ありません、決勝はパスタの予定でしたがスポンサーの都合により恵方巻きに変更されました！選手の皆さん頑張ってください！」