美しさの秘密

2
3

 ミドリ商事の女子寮には六人の美女がいる。
 その日は一つの部屋に皆が集まって、お喋りに花を咲かせていた。
「寒くて肌が乾燥する。潤う方法、誰か知らない?」
「牛乳風呂がいいよ。お風呂に牛乳を入れるの。お肌しっとりするよ」
「知ってる。化粧水みたいに顔だけじゃなく、体まるごと潤うから助かるよね」
「もう蛇口ひねったらすぐに牛乳が出たらいいのに」
「じゃあ入れちゃおうか? 屋上にある給水塔に牛乳をいれたら、蛇口から出るようになるんじゃない?」
「そっか、やっちゃえ!」

 ミドリ商事には有名な六人の美女がいる。
 肌がきめ細やかで美しいのだ。
 彼女たちをみてときめかない男はいない。
 しかし、時が経つにつれて何故か男が立ち去り始めた。
 彼女たちは首を傾げながら毎日給水塔に牛乳を注いでいる。
 給水塔からは濃いチーズの匂いが立ち上がり、空は夏色に染まりはじめていた……。 
ファンタジー
公開:20/05/13 16:55
更新:20/05/13 16:55

牧原加奈( 大阪府 )

牧原加奈です。
よろしくお願いします。

https://twitter.com/makihara_kana

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容