青春カースト

彼はカースト上位。
シャープな顔立ちとフェイスライン。スッキリした顔なのに、笑うと目尻が垂れて柔らかい笑顔になる。俗に言うイケメン。それでいて気取らない性格で中身までイケメンだ。
そんな彼は学校のカースト、ナンバー１。
「まあカースト下位の私には関わることない人だよね」
地味な彼女は、同じクラスの彼を見る度にそう思っていた。

吹奏楽部の彼女は、放課後いつも一人屋上でフルートの自主練をしている。けれど今日は先客がいた。
あのイケメンな彼が、屋上に置いてあるベンチでうたた寝…
あまりのイケメンっぷりについ見惚れてしまう。
「うゎ長い睫毛。ここまでイケメンだと、もはや犯罪だな」
思わず声が出る。
このままではヤバイと思ったのか、彼女は足早にその場を去った。

「…今日はダメだったか」
彼は前髪をかき上げながら起きると、
「まあ、まだ時間はたっぷりあるしな」

彼の誘惑は、まだ始まったばかり。