エレベーター
0
2
「誰か!助けて!」
デパートの8階付近、エスカレーターに閉じ込められた私達母娘は必死に声を上げる。
しかし先程起った大きな地震の影響で建物内のブザーは鳴り響き、声がかき消される。
少し開いたドアからは煙が入り込んでくる。下の階で火災が起こっているようだ。
早くここを出なければ一酸化炭素中毒で死んでしまう。
娘は必死にドアを開けようと力を籠める。私も助けを呼ぶのを諦め、娘と同じようにドアに力を籠める。
「誰か…助けて…」
私の呟きに答えるように、ドアの向こうから指が差し込まれた。血に濡れた指。骨が出た指。それは死者の指だった。
悲鳴を上げ、ドアから離れようとした私達をドアをこじ開けた複数の指が絡め取る。
そして、エスカレーターから助け出してくれた。
呆然とする私の背後でブチンッ!と音がしてエスカレーターが落ちて行く。
『良かった』
私達を助けてくれた指はそう呟くと親指を立て、消えて逝った。
デパートの8階付近、エスカレーターに閉じ込められた私達母娘は必死に声を上げる。
しかし先程起った大きな地震の影響で建物内のブザーは鳴り響き、声がかき消される。
少し開いたドアからは煙が入り込んでくる。下の階で火災が起こっているようだ。
早くここを出なければ一酸化炭素中毒で死んでしまう。
娘は必死にドアを開けようと力を籠める。私も助けを呼ぶのを諦め、娘と同じようにドアに力を籠める。
「誰か…助けて…」
私の呟きに答えるように、ドアの向こうから指が差し込まれた。血に濡れた指。骨が出た指。それは死者の指だった。
悲鳴を上げ、ドアから離れようとした私達をドアをこじ開けた複数の指が絡め取る。
そして、エスカレーターから助け出してくれた。
呆然とする私の背後でブチンッ!と音がしてエスカレーターが落ちて行く。
『良かった』
私達を助けてくれた指はそう呟くと親指を立て、消えて逝った。
ホラー
公開:20/05/11 19:28
元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。
コメントはありません
ログインするとコメントを投稿できます