ねがい
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短大卒業後、上京して十年。浮いた話も最近はトンとご無沙汰の私。ソファでひとり缶チューハイをあおる深夜一時。
「あーあ、白馬の王子様やってこないかな……」
他愛もない願望が思わず口を突いて出る。何か窓の外で光った気がしたが、確認する気力もなくそのまま寝てしまった。
朝。
目覚ましを止めてぼんやりしていると、玄関のほうで音がした。
え……蹄の音?まさか、そんなこと……。
そう思いながらも、そっと玄関のドアを開けてみた。
精悍な顔立ち、逞しい身体、見るからに育ちの良さそうな……白い馬。
「ウソ……ホントに来ちゃったの……?」
しかし、肝心の王子の姿は見えない。寝巻き姿のままマンションの廊下中を探してみたがどこにもいない。ふと馬の澄んだ瞳と目が合う。
「……あれ?もしかして、いや、違うの、白馬の王子様っていうのは……」
馬はヒヒンと鼻を鳴らして、ゆっくりと私に向かって跪いた。
「あーあ、白馬の王子様やってこないかな……」
他愛もない願望が思わず口を突いて出る。何か窓の外で光った気がしたが、確認する気力もなくそのまま寝てしまった。
朝。
目覚ましを止めてぼんやりしていると、玄関のほうで音がした。
え……蹄の音?まさか、そんなこと……。
そう思いながらも、そっと玄関のドアを開けてみた。
精悍な顔立ち、逞しい身体、見るからに育ちの良さそうな……白い馬。
「ウソ……ホントに来ちゃったの……?」
しかし、肝心の王子の姿は見えない。寝巻き姿のままマンションの廊下中を探してみたがどこにもいない。ふと馬の澄んだ瞳と目が合う。
「……あれ?もしかして、いや、違うの、白馬の王子様っていうのは……」
馬はヒヒンと鼻を鳴らして、ゆっくりと私に向かって跪いた。
その他
公開:20/05/12 16:25
更新:20/05/12 17:06
更新:20/05/12 17:06
54字リメイク
30代後半になりTwitterを開設し、ふとしたきっかけで54字の物語を書き始め、このたびこちらにもお邪魔させて頂きました。
長い話は不得手です。400字で他愛もない小噺を時々書いていければなぁと思っております。よろしくお願いします。
Twitterのほうでは54字の物語を毎日アップしております。もろもろのくだらない呟きとともに…。
https://twitter.com/makihide00
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