プロフェッサーＭからの招待状

ときは急を要す。荒唐無稽だと思うだろうが私の話を静聴してもらいたい。ライヘンバッハの滝壺にあの教授をたたき落としたことは貴方もご存じだろう。しかし教授は死んでいなかった。あの男は不死身の吸血鬼だからね。当時の私はそれを知らず、もみあいになった際にあの男の血液を口にし、自身も吸血鬼になってしまった。まさか大戦を二回も経験するとは思ってもいなかったよ。
……ああ、君は不思議に思ったのだね。今もあの男が生き続けているのならば、何故我々は平和な日常をおくれているのかと。あの男は待っていたのさ、今このときを。蜘蛛の糸インターネットを張り巡らし、人間が吸血鬼のように家に引きこもっているこの瞬間を。時は満ちた。教授は全世界の人間を吸血鬼にするコンピュータウィルスを作りあげたそうだ。そこの貴方絶対に封を開けてはいけないよ。『プロフェッサーＭからの招待状』というタイトルのショートショートを。いいね？　Ｓ．Ｈ