ル・ガルーの心中

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神を信じるか?答えはノーだ。もし居ても、そいつは俺達の事など見てはいないからだ。

ロラは二人で過ごす最後の晩に俺の元を去った。置き手紙ひとつを残して。

“ごめんなさい 私はまだ生きたいの”

あの事なら君は悪くない。奴は死んで当然だった。でも問題はそこじゃない。あの男が神父だった事でも。

「見て、エンゾ。私の子供達よ」

不穏な訪問者に母を案じ、兄妹が家から出ようとして、ロラは大丈夫よと言った。

「旦那はどうした?」

「あの人は……」

俺は彼女にまっすぐ銃を向けた。
雲が風に流れ、月光の照らすロラの泣き縋る顔が、獣に変わる。

リボルバーには銀の弾丸2発。

やはり俺達は普通には生きられない。

喰い殺すのは悪党だけと約束した。それでも罪の意識に苛まれ、俺達はあの日決断した筈だ。
雲が再び月を覆った時、俺は銃を下げ、無言で背を向け引き返した。

畜生、もう2発弾丸が要る。
ホラー
公開:20/05/12 04:34
更新:20/05/13 02:37

蛇野鮫弌( ビリヤニがたべたい )

蛇野鮫弌 (はみの こういち)

一日一作を目標に。あくまで目標……

道草食いつつ逝きましょか。

Twitter @haminokouichi

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