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薄暗い一画で今日もお前と一緒に働く。
地響きを伴う定期的な音を聞きながら、淡々と仕事をこなしていく。

俺がするのは単純作業で、お前は随分と難しいことをしているように見える。
でもお互いがいなければ何もできない。

一日の殆どをお前と無言で過ごし、同じ動作を繰り返すだけ。
けれど、それは悪いことではない。
もう習慣になっていて心地よい俺の人生そのものだ。

突然、お前の手が大きく揺れる。
うめき声が波紋となって耳に入り、うなだれた姿が目に映った。
俺はどうしていいかわからず呆然と立ち尽くす。
外から大勢の人たちが集まってお前を囲む。

「もう、だめだな」

高い天井の小さな曇ガラスから落ちてくる朝の光がお前にあたる。
俺は見捨てられてしまったのだ。
この世でたったひとりになってしまった。
お前の身体をそっと触ると、黒く濁った油が作業用の手袋に滲んだ。
その他
公開:20/05/10 22:22

まくの沙江

自分なりのショートショートができればいいと、投稿させてもらっています。
皆様の作品やコメントは、新しいアイディアが生まれて勉強になります!

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