まぶしいとんぼ
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優しい僕には兄の乱暴さが許せなかった。
事ある毎に僕をののしり、手を出す。
全て受け止め、逆らわなかった。
優しさの欠片も感じなかった。
真逆で、対象的な性格だった。
一つしか違わないのによくもまぁ、似ても似つかないなと。
兄は近所の子供達のリーダーだ。
ケンカも強く、口も達者。誰も彼には逆らわなかった。
キザで男前でボンボンの転校生がやって来た。
あっという間に、クラスの人気者になった。
僕が標的になった。いじめられた。
兄は黙っていた。家での乱暴な彼はもう、いなかった。
親が学校から呼ばれた。父は何も言わなかった。
「トンボでも捕まえにいこうか。」兄は言った。
川を走り回った。
「オニヤンマはさぁ、真夏の陽射しの下でもこんなにも元気に飛び回るんだよ。」
兄は言った。
そっと捕まえたトンボを僕の虫籠にいれた。
はじめて、兄がかっこよく見えた。
兄の背中は強く生きろとそう語っていた。
事ある毎に僕をののしり、手を出す。
全て受け止め、逆らわなかった。
優しさの欠片も感じなかった。
真逆で、対象的な性格だった。
一つしか違わないのによくもまぁ、似ても似つかないなと。
兄は近所の子供達のリーダーだ。
ケンカも強く、口も達者。誰も彼には逆らわなかった。
キザで男前でボンボンの転校生がやって来た。
あっという間に、クラスの人気者になった。
僕が標的になった。いじめられた。
兄は黙っていた。家での乱暴な彼はもう、いなかった。
親が学校から呼ばれた。父は何も言わなかった。
「トンボでも捕まえにいこうか。」兄は言った。
川を走り回った。
「オニヤンマはさぁ、真夏の陽射しの下でもこんなにも元気に飛び回るんだよ。」
兄は言った。
そっと捕まえたトンボを僕の虫籠にいれた。
はじめて、兄がかっこよく見えた。
兄の背中は強く生きろとそう語っていた。
その他
公開:20/05/10 20:52
愛を言葉で伝える事が使命だと感じている。
42歳のおじさんです。
カラオケ、料理、笑わすこと、読書、哲学、物思いにふけること大好きです。
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