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教師の私は教え子が成長するのを楽しく見守る。
生徒の一人の気弱で、内気で、後ろ向きな山内くんが心配でしょうがなかった。
彼はいつも、自分の殻に籠もる。
周りとは打ち解けられず、いつも、非難の的だった。ストレスを溜め込むので学校を休みがちだった。
努力家ではあった。プライドが高く、馬鹿にされるのが嫌だったようだ。
だから誰にも相談出来ない。
解決策を導き出せない。
私にも尋ねてこない。

「大丈夫だよ。君にはできるよ。」
そう、言葉をかけるしかなかった。
彼はいつも、頷くだけだった。
算数が苦手だ。6の段で躓く。そして、周りから馬鹿にされ、やる気を失う。

放課後、彼といつも、練習していた。
一歩一歩、少しずつ、彼は覚えていった。
小さい体で、内向的な彼には心の中で燃えている、大きな火が付いていた。
そんな、彼に触発されて、私の心には長くいつまでも、灯火がついていた。
その他
公開:20/05/10 19:49

ポエマータカノ( 横浜 )

愛を言葉で伝える事が使命だと感じている。
42歳のおじさんです。
カラオケ、料理、笑わすこと、読書、哲学、物思いにふけること大好きです。

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