西洋館の幽霊⑥

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 その島田さんより逞しかったのは優介君だった。
 平日は塾と空手道場、土日は少年野球に通っていたが『料理もしてみたかったから』と空手と野球はやめて懸命に島田さんを助けた。島田さんも1人で野球の保護者当番等は難しく優介君に甘える形で了承した。
 その甲斐あって良行君は少しずつ落ち着いた。特に一月前に優介君と一緒に塾に通い始めてからは見違えるほど元気になった。
 同じ頃に同級生の哲志君と拓海君のお母さんから電話が入る。優介君の勧めで2人が塾の1ヶ月無料体験を希望し、初めて勉強にやる気を出したと感謝されたのだ。
 優介君も相変わらず元気に学校に通い、家事手伝いも続け、これまで通り良行君の面倒もよくみてくれていた。順調に行き始め、島田さんは優介君には申し訳なく思いつつも安堵していた。
 でも、少しして島田さんは異変に気付く。元気な様子の優介君が、毎晩、眠っている時に歯軋りしながら…泣いていたのだ。
ミステリー・推理
公開:20/05/14 17:00
更新:20/05/26 03:18
立中森一(たてなかしんいち) 推理物シリーズ

NORIHISA( 碧の星 )

   創作活動はこちらのショートショートガーデンが初めてです。令和元年12月31日から投稿開始しております。
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