無人島で暮らす親子

この親子が住んでいる場所は無人島であった。
無人島では常に、生か死かの戦いがある。狩るか狩られるかの世界に、慈悲はない。
息子とすれば、父親を殺した仇をいずれは討たなければと思っている。しかし、まずここで生き延びなければ話が始まらない。

「こんな感じでどうでしょうか」
「まず、人がいたら無人島じゃないじゃん」
「それもそうですね」

編集の一言で、話の内容は１８０度変わった。この作者の代表作となる猿の縄張り争いを描いた漫画の始まりである。だがこの漫画は売れなかった。

「なんで売れないんですかねえ」
「そりゃあ、ここコアラの森だし。いっそ、人を出してみたら」
「なるほど」

編集の一言でできたのが、「無人島で暮らす親子」であった。人類に反乱を起こし動物が支配するこの世界では、人がいた島が動物たちの反乱で「無人島」に変わり、自然が守られた・・・という痛快な話が大ヒットしたという。