かけちがい

「なに？　絶対にわしが間違っているだって？　どこまで強情なやつじゃ。さっさとこいつをつれていけ！　ん？　調べなおせじゃと？　なんでわしがそんなこと。……ああ、そうガミガミいうなよ。分かった分かった。……おう！　本当じゃ、おぬしの言った通りじゃ。……いや、そう噛みつかんでも。ボタンのかけちがい。マークシートの塗り間違い。おんなじことを繰り返しやっとったら、いつか出てくるものじゃて。……え？　いつからずれておったかじゃって？　いや、それは分からんな。何せ数世紀にも渡って、この閻魔帳を頼りに裁いておったんじゃから。まぁいいじゃないか。誰にだって間違いってもんはある。人間にだって、閻魔にだって。……ああ、そうわぁわぁ騒ぐな。お前は天国行きじゃ。よかったじゃないか。さっさとこいつをつれてゆけ」