西洋館の幽霊③

60
10

 水本先生の顔は一瞬強張ったが直後に後悔を押し殺すそれに変わった。
「ごめんなさい。…じゃあ早速、相談なんだけど。今、私は松原南小学校で6年生の担任をしてるの。クラスの一部の男子生徒が何か隠してるみたいで。それはよくある事よね。
 でも中に1人とても心配な子がいて…聡明で正義感が強くて運動もできるクラスのリーダー。だけど1年前に病気でお母さんを亡くしてるの。なのに落ち込んだ様子を全く見せない事が逆に心配で。言いようのない危うさを感じるの。私には何も話してくれないし。
 立中君、学校心理士の資格を取るって勉強してた事あったでしょ。相談にのってあげてほしいの。お願い。あなたにとてもよく似た子なの。島田優介君といって」
「そんな!生徒指導の事で僕が先生を助けるなん…!島田…優介…」
「そう。立中君の上司、島田栄吉さんの息子さん」
 少しの違和感と強い責任感を感じていた。聴かない訳にいかなかった。
ミステリー・推理
公開:20/05/11 17:00
更新:20/05/23 12:14
立中森一(たてなかしんいち) 推理物シリーズ

NORIHISA( 碧の星 )

   創作活動はこちらのショートショートガーデンが初めてです。令和元年12月31日から投稿開始しております。
 勉強になりますので、どのようなことでもお気軽にコメントいただけると嬉しいです。厳しいご意見もお待ちしております。
 どうかよろしくお願いいたします。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容