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ぼくは走り幅跳びがこわい。
体育の時間、どうしても足が踏み切り板に合わなかったんだ。
踏み切り板から逆に走ったり、大またで試してみたり、靴のつま先に踵をつけて一歩一歩歩いてみたり、一歩ずつ足の形を石灰で描いてみたりしたけど駄目だった。うんと手前だったり、砂場の中だったりしてね。みんな笑ってた。
「居残り特訓だ!」って先生は言った。
放課後、僕は何度も何度も踏み切り板まで往復した。そして、そのたびに変わる助走のスタート地点の目印にするために立てた何十本もの棒の影が、だんだん長く伸びてきて、それが僕の助走の邪魔をした。
最後の一本。って時だった。僕は助走の最後の右足が、踏み切り板の上にバンッって乗ったのを感じた!
だけど、そのときにはもう、僕はジャンプの仕方を忘れていたし、歩き方も思い出せなくなっていた。僕は砂場から出ることもできなかった。
だからぼくは、走り幅跳びがこわいんだ。
体育の時間、どうしても足が踏み切り板に合わなかったんだ。
踏み切り板から逆に走ったり、大またで試してみたり、靴のつま先に踵をつけて一歩一歩歩いてみたり、一歩ずつ足の形を石灰で描いてみたりしたけど駄目だった。うんと手前だったり、砂場の中だったりしてね。みんな笑ってた。
「居残り特訓だ!」って先生は言った。
放課後、僕は何度も何度も踏み切り板まで往復した。そして、そのたびに変わる助走のスタート地点の目印にするために立てた何十本もの棒の影が、だんだん長く伸びてきて、それが僕の助走の邪魔をした。
最後の一本。って時だった。僕は助走の最後の右足が、踏み切り板の上にバンッって乗ったのを感じた!
だけど、そのときにはもう、僕はジャンプの仕方を忘れていたし、歩き方も思い出せなくなっていた。僕は砂場から出ることもできなかった。
だからぼくは、走り幅跳びがこわいんだ。
その他
公開:20/05/10 09:41
更新:20/05/10 09:41
更新:20/05/10 09:41
こわいわけ
星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。
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