サンタクロースの手続き

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クリスマス。子供達が喜ぶもの。プレゼント。サンタの登場。
人の役に立ちたい。喜ばせたいという、孤独な男は生きている価値を見出したかった。
隣に住む家族とはよく、顔を合わせる。
かわいらしい二人の娘さんと仲良しだ。

「おじさん、サンタは本当にいるの?」
下の娘は言った。
目をキラキラさせて。瞳の奥は期待でいっぱいだった。
サンタクロースになりたかった。
そこに存在を見出したかった。
衣装を身に着けた。
プレゼントを買った。
食費を削った。

喜んでくれた。人の役に立てたと思った。
でも、一日たつと虚しさが残った。
自分は節約して、子供達を喜ばせ、それを思い描いていたのに、空虚感しかなかった。
自分に贈り物をした事はあったのかと思った。
気付いた。

自分に贈り物をした。空いていた穴が埋まった。
贈り物を自分にする事でようやく、真のサンタクロースになれた。
その他
公開:20/05/10 18:25

ポエマータカノ( 横浜 )

愛を言葉で伝える事が使命だと感じている。
42歳のおじさんです。
カラオケ、料理、笑わすこと、読書、哲学、物思いにふけること大好きです。

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