サシで勝負するおやつ・前編

　ある初夏の日曜日の午後。キッチンでガタゴトと物音がしている。
「今日こそ決着をつけてやる！」
　そう宣誓したのはクリームたっぷり豪華絢爛なケーキ。
「きみがぼくに勝てるのかい？」
　クリームケーキの目の前に立つ焦げたチョコレートブラウニーが言い返した。
「いくぞ！」
　2つのおやつが同時に叫んだ。
　フォークを持つクリームケーキが焦げたチョコレートブラウニーに突進する。
　チョコレートブラウニーは半身逸らして攻撃をかわすと、体に予め蓄えていたチョコチップをクリームケーキに投げつける。
　クリームケーキにチョコチップがくっつき、視界を塞いだ。
「目つぶしか?！」
　それを狙っていたかのように、チョコレートブラウニーの手がクリームケーキへと伸びる。そして——（つづく）