フラワームーン
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黄昏時。職場から郊外の自宅に帰るため私鉄に乗っていた。
車両は座れる席もあったが、ドアの近くに立っていた。見渡すと車内の人達は、皆マスクをつけ、スマートフォンを手に持ち、ゲームやマンガ、メールなどそれぞれの作業に没頭している。
私もスマホを操作していたが、ふと気になり外を見た。
暮れなずむ雲のない少し濃くなったブルー地の空にピンク色の大きなボタン桜のような満月が、ビルで途切れがちな地平線の上の方に浮かんでいる。
天幕のブルーグレイのグレイが濃くなっていくのにつれて、月のピンクも冴えてくる。
私はその桃色の花を見るほか何もできないでいる。他の乗客は皆スマホに釘付けになっているなか、自分一人だけ感動して立ち尽くしているのが不思議だった。
帰宅後、ベランダから月を観ると、今は暗い空に銀色に輝いて光を放射していた。
5月の満月をフラワームーンと言うのだと後でニュースで知った。
車両は座れる席もあったが、ドアの近くに立っていた。見渡すと車内の人達は、皆マスクをつけ、スマートフォンを手に持ち、ゲームやマンガ、メールなどそれぞれの作業に没頭している。
私もスマホを操作していたが、ふと気になり外を見た。
暮れなずむ雲のない少し濃くなったブルー地の空にピンク色の大きなボタン桜のような満月が、ビルで途切れがちな地平線の上の方に浮かんでいる。
天幕のブルーグレイのグレイが濃くなっていくのにつれて、月のピンクも冴えてくる。
私はその桃色の花を見るほか何もできないでいる。他の乗客は皆スマホに釘付けになっているなか、自分一人だけ感動して立ち尽くしているのが不思議だった。
帰宅後、ベランダから月を観ると、今は暗い空に銀色に輝いて光を放射していた。
5月の満月をフラワームーンと言うのだと後でニュースで知った。
その他
公開:20/05/09 18:06
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