どんぶらこな本

0
1

毎年夏になると、空からたくさん本が降ってくる。
山では、葉っぱを携えてふかふかな本に。でも海へ向かう途中、魚たちに食べられて小さくなってしまうよ。だって、それらはとてもおいしいから。
海に辿りついた時、それは微かな一枚、いや一冊なのだけど、すくって味わってみると、どんぶらこどんぶらこ本の記憶が体に染み渡る。
もし浜辺で本に出会ったら、決して読まないでください。そして、ひと口だけ味わってみてください。だって、本は読みものじゃない。食べものなのだから。
ファンタジー
公開:20/05/09 15:10

ものたび( みちのおく )

言葉を贈る仕事をするひと。「役に立つ」を卒業して、「意味がある」言葉を贈ろう。

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容