『おまもり』 守り刀

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老いた男は遅く生まれた息子を祝って守り刀を贈った。
「これは名を遺した英雄達も手にした霊刀だ。邪気を祓い健康と幸運を呼び込む。お前と私、そして皆の為にこれを贈ろう」
この刀にはまだ言い伝えがあった。
代償があるのだ。仁のこころで義を行う。これに悖るならば刃が自らを害す。
ながらくこの霊刀を手にする者はなかった。だが時代が進み多くの問題を抱える国を憂いた老父は今日、その刀を贈った。
「この子の未来に重い責任を押しつける事になるだろう。親のエゴだとも承知している。だがこの国は傾くばかりだ。誰かが立たねばならんのだ」
咳き込む手ににじむ血をみて、過去を思い顔をゆがませる。だが我が子をみる目は温かだった。
「愚かな父の希望となってくれ。そしてなんとかみつけた霊刀よ、どうか息子をまもり、導いてください」

その赤ん坊が半世紀の後、この国の大革命を果たす伝説の人物となることを、今はまだ誰も知らない。
その他
公開:20/05/09 21:39

とーしろさん

はじめまして~。
いつだって初心で、挑戦者のこころでぶっ込みたい素人モノ書きです。

沢山の方々に支えられ、刺激を与えられ、触発されて今日ももちょもちょ書いております。
一人だけでは生み出せないモノがある。
まだ見ぬステキな創造へ、ほんの少しずつでも進んでいきたい。

ショートショートというジャンルに触れる切っ掛けをくださった、
月の音色と大原さやかさんを敬愛し感謝しております。

興味をもって読んでくださる全ての方にも、ありがとうございます~^^

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