思い出。それは塩

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何をしてても手につかない。思春期の息子は言う。
飯も喉を通らない。勉強も手につかない。
ゲームにも、集中出来ないとため息ばかりつく。息子はプライドが高く、奥手だ。
なお且つ、面食い。美人が好みだ。
女性の気持ちが理解出来ない。
というか、理解しない。

ペペロンチーノを作る時、塩加減を気にする。
入れすぎても、少なすぎても美味しくない。
丁度いいのがベスト。
恋には駆け引きというがそんなのは熟練したプロの技だ。
失敗を繰り返して料理も恋も学ぶ。
どれだけ没頭できたか、愛する事が出来たか、塩というスパイスが決め手の様に愛と言う名のスパイスの度合いが完成を左右する。

息子にはこう諭す。バランスこそ、決め手であると。
極上の一品を作り出すにはわずか1グラムのブレが全てを乱す。
失敗を繰り返してきた、私の思い出が塩というスパイスのように自分の人生を決める。
その他
公開:20/05/09 19:25

ポエマータカノ( 横浜 )

愛を言葉で伝える事が使命だと感じている。
42歳のおじさんです。
カラオケ、料理、笑わすこと、読書、哲学、物思いにふけること大好きです。

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