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「一つ、怖い話をしてやる」
深夜一時を回って雨風が強くなり、時折雷鳴も轟く中、僕のアパートに遊びに来ていた先輩が語り出す。
貧しくて不幸な少年が体験した話なんだけどな・・
ある事情でお金がなく、食べ物に困っていた少年がいた。
少年は学校の図書館の天井裏に隠れて皆が帰るのを待ち、校内が静まり返ると天井裏から出てきて、給食の残り物を食べ、図書館の本を読み、保健室のベッドで寝ていたそうだ。
四日ほど、そんな生活を続けていた少年は、ふと、ある事に気付きゾッとしたという話だった。
「どうだ?」
「いやぁ、めちゃくちゃ怖かったです!
でも先輩、本筋とは全然関係ないんですけど、少年は学校の中でなかなか快適に暮らしていて、貧しくはあったんでしょうけど、不幸ではなかったんじゃないかなって思いました」
「そうか?貧乏だから不幸に決まってるだろ」
怖い話より、先輩の先入観が怖いと感じた夜だった。
深夜一時を回って雨風が強くなり、時折雷鳴も轟く中、僕のアパートに遊びに来ていた先輩が語り出す。
貧しくて不幸な少年が体験した話なんだけどな・・
ある事情でお金がなく、食べ物に困っていた少年がいた。
少年は学校の図書館の天井裏に隠れて皆が帰るのを待ち、校内が静まり返ると天井裏から出てきて、給食の残り物を食べ、図書館の本を読み、保健室のベッドで寝ていたそうだ。
四日ほど、そんな生活を続けていた少年は、ふと、ある事に気付きゾッとしたという話だった。
「どうだ?」
「いやぁ、めちゃくちゃ怖かったです!
でも先輩、本筋とは全然関係ないんですけど、少年は学校の中でなかなか快適に暮らしていて、貧しくはあったんでしょうけど、不幸ではなかったんじゃないかなって思いました」
「そうか?貧乏だから不幸に決まってるだろ」
怖い話より、先輩の先入観が怖いと感じた夜だった。
その他
公開:20/05/08 21:54
ショートショートに魅了されています。
いつか本を出すことが目標です。
宜しくお願い致します。
こちらで初めて書かせていただいた「駅伝家族」で賞をいただきました。
また、伊坂幸太郎さんの「ガソリン生活」のキャッチコピーコンテストに入賞し、文庫版の帯に同ペンネームで使用されております。
noteにも【チョルクーパー】というペンネームでショートショートを投稿しておりますので、フォローして下さると嬉しく思います。
投稿している作品は同じですが、改行などの関係で読みやすくなっております。
多少加筆修正もするかもしれません。
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