放課後デート

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夕焼けに染まる教室の中、部活動に励む生徒達の声をBGMに私は課題を仕上げていた。
「今日もやってるね」
声をかけてきた彼の体は向こう側が透けて見える。彼は幽霊だ。
『うん。もうちょっとで終わるんだけどね』
「どれどれ…ここ間違えているよ」
顔を近づけてきた彼。もうあと数センチで唇同士がくっつきそうだ。
「あっ…ごめん…」
彼は私から離れた。彼の顔が真っ赤に染まる。私も、か。
「生きている頃に君と出会いたかったよ」
彼は私との距離を詰め、唇を奪った。
「君ともっと一緒にいたかった。もっと話したかった。だから、僕は生まれ変わるよ」
彼の体がさらに薄くなっていく。
「ありがとう」
そう言い残して彼は消えた。
『ありがとう、はこっちの言葉だよ』
私も生きている時に彼と出会っていたら自殺なんてしなかっただろう…
彼に会いたい。そして今度こそ、青春を謳歌するんだ。
私もまた、この日成仏する事を選んだ。
ホラー
公開:20/05/08 19:06

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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