はるばる先に

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息子と一緒にアスレチックジムにやって来た。今日は男として、父として息子に格好良いところを見せてやるぞ!
ジムの入り口に一本の杖が置かれてあった。皆、その杖を避けて歩く。
子供達なんて杖から距離を取るように大きく迂回して歩く。
あの杖は何だ?気になった僕は杖に近づくと何気なしに触れてみた。周りが僕を驚いた顔で見つめる。
「お客様!大丈夫ですか!?」
職員が血相を変えてやって来た。もしかしてこれ、触ってはいけない杖だったのか?
「いえ、その杖は”転ばぬ先の杖”ならぬ”はるばる先に杖”と呼ばれるもので、杖が必要のない子供や若者は近づく事すら出来ませんが、杖を必要とする者には簡単に触る事が出来るんです」
なんだそりゃ?僕に杖が必要だって?失礼な話だな。僕は健康そのものだぞ。
心配する職員に「問題ない」と答え、僕は息子とアスレチックゾーンに進んだ。

数時間後
僕は足を捻り、松葉杖片手に施設を出た。
ファンタジー
公開:20/05/08 18:52

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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