雷電田

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あるところに辺り一面、水田が広がる村があった。その田園風景は実に美しく「日本のふるさと百選」にも選ばれている。
この村、さぞかし稲作が盛んな米どころと思いきや、ほとんど農業はしておらず、一年を通して水が張られたままの田んぼがあるだけだった。
この村にはもう一つ特徴があって、雷がよく落ちた。気候のせいなのか地形上の関係かは専門家もわからない。村民の間では、昔から鬼ヶ島伝説が唱えられており、鬼が好む場所だから落雷が多いと信じられているほどだ。あまりにも落雷が多いので、この土地で生活することはできず、大半の村民が他の場所に立ち退いた。
だが不思議なことに、落雷のあった水田には電気がそのまま蓄えられ、そこから配電線を敷けば、村が消費するエネルギーを自給自足で全て賄えた。
二〇一六年から始まった電力の小売り全面自由化によって、村は電力会社を設立し、水田で余った電気を安価で売り、村の財政は潤っている。
その他
公開:20/05/09 06:48
更新:20/05/09 10:13
水田 田園風景 田んぼ 鬼ヶ島伝説 落雷 電気 配電線

山田衆三( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育つ。同志社大学経済学部卒業、慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年6月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。
2022年3月26日に日本近代文学館で行われた『ショートショート朗読ライブ』にて自作「寝溜め袋」「仕掛け絵本」「大輪の虹列車」が採用される。

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