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少し間があって、それから泡は話しはじめた。

―君は僕のことを不思議に思うかもしれないけれど、人間だってこの世に数えきれない程たくさんいるだろう?そして長い歴史の中で、その中の一人が月に行ったり、数学の難問を解いたりするわけだ。
"初めて"って、戸惑うけれどそういうことだろ?つまりね、僕はこれまでの泡の中で飛び抜けて賢かった。それだけのことなんだ

「なるほどね。ということは僕が君と話している今は、なかなか偉大な瞬間なのかな?」

ーこの瞬間はね。ただ、時間が経ってしまえば何でもない一瞬だよ

この泡はなかなかのニヒリストだなと僕は思った。
「僕としては人生で泡と話す機会があるなんて考えてもいなかったけど、悪い経験ではない感じがするよ」

ーただ我々の一生は、君たちに比べたらとても短い

「そうだね。できればもう少し君と話していたいな」

再び加湿器の水がボコボコと音を立てた。
ファンタジー
公開:20/05/09 00:38

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