はるばる先に

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私のご先祖様は江戸時代、剣の道を究めた達人だったらしい。
城の剣術指南役として長く勤め、その間も己の道の研鑽を怠らない。
その結果生まれたのが秘剣・カナタ傷である。
この技は相手に斬った事を悟らせない。
斬られた相手は時間差で血を噴き出し、倒れる。きっと己に何があったか理解出来ぬまま息絶えた筈だ。
この技を編み出したご先祖様。実は城に雇われた凄腕の暗殺者だったのではないかという話もある。
だが、私はご先祖様を信じる。
ご先祖様は剣の道をお天道様の下で究め、後ろ暗い事は何もないと。
そうだとも。現代、その剣を使い、悪の道に進もうとする者は皆、カナタ傷に倒れる。
これははるばる先にいる子孫達が間違いを起こさない為にご先祖様が施した傷であると私は考える。
だから兄様、その傷が癒えたら、ご先祖様に謝りに行きましょう。
大丈夫。命が助かっているのです。きっと、まだやり直すチャンスはあります。
公開:20/05/07 09:49

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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