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「"心の声の録音機”の噂、知ってる?」
放課後の部室で茜が俺に聞く。
「ああ、本当にあれば放送部の取材も面白くなるだろうな。でも何で急に?」
「そこに入ってるよ」
茜が興味無さそうに引き出しを指差す。
「そういうの好きでしょ?試してみれば」
「はあ?くだらねえ…」

隠し持っていた録音機を再生すると、知らない女の声が聞こえてきた。
おかしい…今日も部室には二人しかいなかった…。誰か隠れてたのか?いや、まさか…。なら最初から入っていた声か…いや、それなら俺の事を…。これは一体…?

「普通、録音した声は自分が喋ってる時とは全く違く聞こえる。でもアレが拾うのは心の声…つまり実際に発せられた声ではない。という事は、逆に本人にしか馴染みのない声が流れてくるはず」
「…で?」
「それにあの告白…いや……俺も前から…」
「ビンゴ!」
それは僕が知ってる茜からは聞いた事もない、悪戯っ気に満ちた声だった。
ミステリー・推理
公開:20/05/07 09:30
更新:20/05/19 12:33

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