逢魔が時の迷子

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子供の頃、落ちていく夕日を追いかけて迷子になったことがある。

小さかった私は、どうしても夕日の沈む先を見てみたかった。
そこは夜なのか?それとも終わらない夕暮れの世界なのか?

答えは結局分からなかった。
迷子になった私は、見知らぬ男の人に助けられた。
その人の顔は忘れてしまったけれど、
優しい声だったことだけは今も覚えている。

「どうして…今、その話をしたんだ?」
彼氏が私に聞いた。
「何故だろう…。さっき二人で見た夕日が、あの日とそっくりだったからかも」
「あとは、あなたの声があの人に似ているからかもね」

そういうと、彼は困ったような悲しいような、何とも言えない顔をした。

「僕も覚えているよ。」
彼は何を言っているんだろう?
「でも君は小さかったから、忘れてしまったんだね。
誰にも秘密だよといったのに。」

振り向くと彼の姿は消え、私だけが残された。
私は今も迷子のままだ。
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公開:20/05/07 12:00
更新:20/05/18 23:12

柊 理子

物語が好きで、自分でも書いてみたいと思い始めました。
コンマ一ミリでも、人の心を動かせる物語を描けるようになりたいです。
精進しつつ、楽しみつつをモットーに書いてていければと思っております。
よろしくおねがいしますm(_ _)m

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