脚の夢

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椅子の上に退屈そうに置かれた脚が言った。
「空を飛びたいのだが」
すごく退屈そうだから、中途半端にはなるが願いを半分叶えてやった。
ベランダから宙に脚をぶら下げる。
どうだ、気持ちいいか?と聞くと
「そろそろ独立したい」と返ってきた。
自分の脚を切るわけにはいかないし、それはできない。僕とお前は一心同体、腐れ縁なのだ。と言うと、
「一緒に地獄に落ちるのか」
やれやれと、溜息まじりに言われた。
脚はベランダの中に吸い込まれるように戻ってきた。
僕は言った。
立てないと首を吊りに行けないのだ。と。
快晴、夏の匂いのする昼下がり。
木にかけた縄で首を吊った。
脚はぶらぶら揺れて、地獄行きの道中を楽しんだ。

目が覚めると病院だった。
失敗したか。
脚は言う、
「本当の地獄はココだな、よお、相棒」
窓の外は大雨だった。
脚は笑った。
「次こそ空を飛んだほうが良さそうだな。俺の夢も叶う。」
ホラー
公開:20/05/07 04:14
更新:20/05/07 04:41

夜野 るこ

  夜野 るこ と申します。
(よるの)

皆さんの心に残るようなお話を書くことが目標です。よろしくお願いします。

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