緑色のラッキョ

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安息が欲しいとき、自然にふれ、緑の中に身をうずめ、目を閉じて自問自答する。

20代半ば私は挫折した。能天気に生きてきた。何も考えないまま、人生の選択をし、リスクも考えないまま、突き進み、先のイメージすらついていなかった。

落ち込んだとき、兄はラッキョをよく食べていた。
健康的に生きるのだと常日頃、言っていた兄は元気になる方法をいっぱい知っていた。

病んだ私は兄に連れられ山に登った。
心落ち着かせ、深呼吸し、また、上に上がる。
人生には谷などない、上がるか下がるかの山登りのように上だけ見ている人にとっては造作もない。
パワフルな兄のエネルギーを少し分けてもらい、私は人生の谷底からゆっくりと上がっていった。
駆け足ではなく一歩一歩。

青年期の私には兄は人生の師だった。
最高の師が私のそばにいた。
緑の中に身を潜めてラッキョを食べながら、近くにある幸せを感じていた。
その他
公開:20/05/08 09:46

ポエマータカノ( 横浜 )

愛を言葉で伝える事が使命だと感じている。
42歳のおじさんです。
カラオケ、料理、笑わすこと、読書、哲学、物思いにふけること大好きです。

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