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「なあ、いい天気だからキャッチボールでもしないか?」
親父がまた部屋の外でなんか言ってる。
「また昔みたいに遊ばないか?」
出れるもんなら俺だって出たい。それが簡単なことなら。
2年間、毎日親父の声を聞いてる。毎日、毎日。
次の日、親父の声はなかった。ドアの隙間に紙がある。
”今日は家に誰もいません。ご飯置いてます。”

なんだよ。

その日から親父は俺を呼びにこなくなった。
ある日、母さんが「お願い、今日だけは出てきて。下で待ってるから。」
迷ったけどモヤモヤするから下に降りた。
久しぶりに見るキッチン、リビング

そして
親父。

眠ってる。

母さんが言うには昨日から眠ってるらしい。
なんだよせっかく外に出たのに。

あーあ、
なんだよ、
なんだよ。

すごく晴れてる。
俺、公園にいるよ。
キャッチボールするんだろ。
今度は親父が引きこもりかよ。

そんな小さいツボに引きこもりかよ。
その他
公開:20/05/07 15:23
家族

エクシエ・カルムコ( 東京都 )

ゆったり、気ままに作品創ってます。
猫と阪神タイガースが好きです

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