月相家族

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十六夜。僕たちは転がるように食卓へつく。
お母さん、お父さん、弟、僕。みんな同じに丸まった身体をテーブルと椅子の間に挟めて、お母さんの作ったロールキャベツをほお張る。いくら食べても太るわけじゃないから、ご飯は三杯おかわりした。おんなじ形をよっつ並べて、僕らは眠りについた。
二十三夜には少し動きやすくなる。台所に立つお母さんにうしろからくっついても、お腹まで手が届く。弟も僕の真似をして、三人電車みたいにくっついたまま、今日学校であったことをお母さんに話して聞かせた。
有明月は日曜だったから、みんなでお昼から日向ぼっこをした。あんまり広くないうちの庭でも、ほっそりとした身体を寄せ合えば、四人並んで寝られる。夜はみんなで一緒にお風呂に入った。
朔は誰の姿も見えない。当然、なにも一緒にできないし、喋れない。だけど、みんな一緒にいる。
僕らは見えない身体をよっつ並べて、いつもより深く眠りについた。
その他
公開:20/05/06 14:27

ゆた

高野ユタというものでもあります。
幻想あたたか系、シュール系を書くのが好きです。

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