2
3

ゲノム編集が容易になった今の時代。
親は自己の理想像を、子に正確に投影させることが出来るようになっていた。

「お母さん、ただいま。」
帰ってきたのは息子の正人だった。容姿は今人気の俳優そっくりの端正な顔立ち、高身長、筋肉質、知能はアイシュタイン同等の数値を出しており、マザーテレサのような愛情深い性質も兼ね備えている。まさに理想の息子だ。

我が国日本ではゲノム編集技術の簡便化と費用の大幅な減少により、国民の9割以上が遺伝子操作を行っている。誰もが理想像を子に押付け、個性を人為的に作り出す。全く親の勝手である。

なんていって、私もこの時代をありがたく生きている。だって…

「ただいま」
今度は旦那が帰ってきた。
「おかえり、あなた聞いて、正人がまた時間に関する新しい法則見つけたみたいよ。」
「さすがうちの息子だなあ。」
「そうね。」

心でそっと呟く。
(あなたの子ではないけどね。)
SF
公開:20/05/06 14:20

かぼちゃっぴー

初めまして。
皆さんのあたたかい作品に感銘を受け、自分も執筆してみようと思い、始めてみました。

色々な方の意見が聞きたいので、良いことも悪いことも、率直な意見として聞かせて貰えましたら嬉しいです。

よろしくお願いいたします。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容