化け家族

街のどこかで怪談話を聞いた。
公園に女の子の幽霊がいて、家族になろうと誘ってくる。
もしも頷くと、公園で女の子の幽霊と暮らすことになるそうだ。
家族が死に、孤独に苛まれていた僕は、この幽霊を探すことにした。
幽霊の家族になって、二人で暮らしたいと思ったのだ。

真夜中に公園を歩いていると、突然女の子に声をかけられた。
「私の家族になってくれませんか？」
黒い瞳の女の子で、体がうっすら透けていた。
あぁ、やっと探していた幽霊に出会えた。僕は微笑んだ。
「いいとも。今日から僕達は家族だ」

気がつくと、僕は公園に一人で立っていた。
夢を見ていたのか？

その時、足元で何かがモゾモゾと動いた。
下を見ると、黒い毛並みの子猫が僕を見上げていた。
僕はその猫を抱きかかえた。
その猫の瞳は、さっきの女の子の瞳を思い起こさせた。

どうやら僕は、幽霊の家族を探していて、
化猫の家族を見つけたようだ。