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4月中頃。庭の片隅で思った。
「……また化けた」
何の花か判りにくいが、水仙だ。うちに一株だけあるお化け水仙。種を作らないはずの水仙が、たまたま種を結んだ突然変異(推定)。遺伝子構造上、世界に一つかも知れない謎な奴。
八重なのに花が小さく、他より遅い。例年蕾のままで枯れるか、咲いても形がいびつだった。奇跡的に開くと、目の覚める様な黄緑色に、白い斑が不規則に入る。見られたら運が良い年と決めていた。
暖冬の影響か、今年の花は大ぶりで、黄緑以外に、半分程白いのも混じっている。花びらの枚数は違うが、形も一人前に水仙らしい。
「ひょっとして、黄緑は半人前だった?」
どうだ!と言わんばかり、正面を向いた奴に訊いてみる。当然答えないが、苦節数年、頑張ったんだろう。まぁ、まぐれ当たりの可能性も高いが。
この先どうなるか、未知数なのはお互い様。まぐれでも崖っぷちでも、二度とない今を、正面切って生きればいい。
「……また化けた」
何の花か判りにくいが、水仙だ。うちに一株だけあるお化け水仙。種を作らないはずの水仙が、たまたま種を結んだ突然変異(推定)。遺伝子構造上、世界に一つかも知れない謎な奴。
八重なのに花が小さく、他より遅い。例年蕾のままで枯れるか、咲いても形がいびつだった。奇跡的に開くと、目の覚める様な黄緑色に、白い斑が不規則に入る。見られたら運が良い年と決めていた。
暖冬の影響か、今年の花は大ぶりで、黄緑以外に、半分程白いのも混じっている。花びらの枚数は違うが、形も一人前に水仙らしい。
「ひょっとして、黄緑は半人前だった?」
どうだ!と言わんばかり、正面を向いた奴に訊いてみる。当然答えないが、苦節数年、頑張ったんだろう。まぁ、まぐれ当たりの可能性も高いが。
この先どうなるか、未知数なのはお互い様。まぐれでも崖っぷちでも、二度とない今を、正面切って生きればいい。
その他
公開:20/05/07 02:16
創樹のアイキャッチ画像も、
2020年版にマイナーチェンジ
創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
https://amzn.to/32W8iRO
ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.13執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。
【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞
いつも本当にありがとうございます!
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