夫婦茶碗家族

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新婚旅行先で私達は夫婦茶碗に一目惚れをした。
10万円もする高級品だが私も妻もそれと出会えた事は運命に違いないと思った。
目を合わせ、頷き合う。何も言わず購入を決めた。
「この夫婦茶碗を買うなんてお目が高い。貴方達は幸せになれますよ」
何故か店主の言葉もリップサービスとは思えなかった。

旅行から帰るとすぐに夫婦茶碗で食事を摂った。
いつも以上に美味しく感じるのは何故だろう?
反面、一人で摂る食事に夫婦茶碗を使うと味気なく感じるのは何故だろう?
『食事は夫婦一緒に』が我が家のルールとなった。

ある日、食器棚に小さな茶碗が増えている事に気付いた。
その日、妻の妊娠が発覚した。

あれからもう数十年経つが夫婦茶碗は欠けるも割れるもなく今も現役で使っている。
しかし何も変化がないわけではない。
夫婦茶碗が産んだ子供茶碗の数に比例する子供達と今日も私達は食卓を囲んでいる。
これでは家族茶碗だな。
公開:20/05/06 10:15
更新:20/05/06 11:07

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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