墓参りが嫌いな理由

私は墓参りが大嫌いだ。
幽霊なんてこの世にいない。死んだ人は戻ってこない。
人は過去に縛られず、未来を見据えていくものだ。
死者を思い出す墓参りなんて必要ないと思っている。
だから私は墓参りに行かない。そんな行為には意味がない。

「それじゃ、お墓参り行ってくるから」
家族は私を残し、墓参りに出かけた。私は一人留守番だ。
きっと家族は墓参りが終わると近くのファミレスで食事をするだろう。
だから私もそれに合わせて家を出る事にした。

そろそろ頃合いかな？
家を出た私はファミレスに向かう。そこに家族はいなかった。
まだ墓参りをしているんだろうか？行きたくないが霊園に足を進めた。

「なに…これ…」
私は呆然とした。家族は私から目を逸らした。
家族はまだ墓参りの最中だった。
初めて見る墓石には私の名前が刻まれていた。
そっか…私が墓参り嫌いなのって、私が死んでいた事を認めたくなかったからなんだ…