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爺ちゃんは僕や妹に凄く甘い。父さんは爺ちゃんの事を凄く厳しい人だって言っているけどとても信じられない。だってこんなにも優しいんだから。
爺ちゃんは僕らに何でもくれる。宝物だって言っていた時計だって僕にくれたんだ。
でも本当にいいのかな…ちょっと不安になってきた。
爺ちゃんは「構わん構わん」と笑ってくれたけど、僕は僕の宝物を誰かにあげるなんて絶対に出来ない。ねぇ爺ちゃん。何で爺ちゃんは僕らに何でもくれるの?
「それはな。儂が満足しているからじゃ。お前達に会えて、満ちる喜びに足が生えてどこかに行こうとしておる。その時計も同じじゃ。これからはお前と共に満ち足りた暮らしをしたいといっておる。儂ではもうそいつを充たせない。だから儂の代わりに時計としての本分を充たせてやってくれ」
僕は爺ちゃんの言っている事がよく分からなかった。
爺ちゃんはかかっ!っと笑っては満月みたく禿げ上がった頭を軽く撫で上げた。
公開:20/05/06 09:41

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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